Nike KD 8 EPレビュー

皮肉にもKD 7の次にKD 8のレビューになってしまった…。
入手/履いた順/評価の固まった順で左右されるので、悪しからず。

ということで、今回レビューするのは、ケビン・デュラントのシグネチャーシューズ8作目。KD 8です。
これまたガラッと変わりましたね。Kobeシリーズは一貫して”素足感”、Lebronシリーズは”レブロンの足を守る”のメインテーマが掲げられており、そのテーマに沿ったシューズがリリースされる中、KDシリーズのこの不安定感w。
毎シリーズガラッと変わって、毎回履き味が変わるので、消費者的にはとても楽しいのですが、ケビン・デュラントは、毎回シューズに求めるものが変わってるということでしょうか?はたまた、誰かと被るのでしょうか?

それはさておき、現に前作とはガラッと変わったKD 8を実際に見てってみようと思います。
そういえば、今作から各シグネチャーにもEPラインが入ってますね。
EPとは何ぞやというのは別途調べてもらうとして、こと、KDシリーズにEPラインができたことで”履ける”人の幅は広がったのでしょうか?
この点は先に言っておきます。”微妙”です!

さてさて前置きが長くなってしまったので、早速見てってみようと思います。

ちなみに今回入手したColorwayは”HUNTS HILL NIGHT”。
全体的なグレーにソールのグリーンがアクセントなカラーリング。
個人的には、一番落ち着いたカラーリングが好みでポチり。また、背景のストーリーも結構好きです。

実はリリース直後から結構気になってたシューズですが、中々しっくりくるColorwayに出会えず、中々購入に踏み切れませんでした。
”Suit”なエヴァカラーは流石に履く勇気が持てませんでしたし…。



今回は、まず最初にこの特徴的なシルエットから触れてみようと思います。
プレスリリースが出たときにまずびっくりしたのはヒール。
「後ろ、出過ぎじゃね!?」と。「走り辛くね??」と。

実際に届いて現物見てみると、写真程のインパクトはなく、おとなしく感じる。
そして、履いてみると全然気にならないです。
むしろ逆に、どうしてこの形状なのかの意味が自分には理解できず…。(トラクション稼ぎ?)

ヒールが特徴的なシルエット。
アップ。横から見ると結構出てるように見えるんですけどね。
上から。こう見ると意外に普通に見える不思議。
写し方が下手で申し訳ないです…。
という感じで、次にフィットに関して。
EPになってどうなったか?既に冒頭で”微妙”といってしまってますけど、なんというか…。
まず、EPになったことでこれまでのKDシリーズと比較して確実に広くなりました。
今までのKDシリーズで合っていた人には”広すぎる”ぐらいに…。

ベース自体が広がったことで、ストレス無く自然に足が広がる程にクリアランスがある状態でかつ、前足部の途中までがFlywireを用いた直接締め付けの方式ですが、デフォルトの丸紐のせいか締め上げ辛く、フィットが甘い。
また、”ストレス無く広がる”ほどにベース自体が広がった為、強く締め上げてもアッパーが余ってしまう…。
かといって、縦はジャストなので、ハーフサイズダウンも出来ず…。なのでサイジングが厳しい…。
なわけで、幅広の人が手放しで歓喜出来るかと言うと、単純にそういう訳には行かず…。
EPとは言え、アジア圏向けにリデザインされた訳ではなさそうで、甲は相変わらずの低さ。
強めに締めると、甲周りが圧迫されて痛みに。

うーん…サイジングが難しい…。試着必須ですし、既存のKDシリーズで合っていた人は、もしKD 8を有力候補と考えるならば、海外モデルの購入も検討した方が良いかもしれません…。

前足部は、KD7同様フライワイヤーの直接締め上げ式。
ただ、KD 7は3本に対して、今作は1本のみ。
ベースが広がった為、締めあげてもアッパーは余るし、丸紐のお陰か締め上げ辛い。

履いてない状態で撮影してますけど、余る位置はだいたい同じです。
後足部は前・中足部程ネガティブな要素は無いです。
ただ、1点だけ、今作はシュータンがかなり厚く、それでいてクッションが多い。多すぎる。
上でも触れたようにシューレースが締め上げ辛い上にこのタンの厚さが来るので、どうしてもロックダウンが甘くなりがちに。
前情報で”ヒールが抜けやすい”ということだったのですが、踵の形状が合うのか、自分は余り気にならなかったです。
ただ、上のタンの問題と合わせて、ヒールモチーフの”さーべるたいがーの牙”はヒールクリップとしての役割は期待出来ず。な訳で、”抜けやすい”に繋がるのではないかと。
(まぁ、KD本人も自分が見た限り2回抜けてますからね…。)
ちなみに”さーべるたいがーの牙”は、踵を安定させる効果があるとのことですが、ぱっと見て分かる通り材質はミッドソールのそれなので、過度な期待は禁物かと。
ただ、ヒールカップ自体しっかりしてる素材なので、ここに不満は感じないと思います。

タンは厚めの素材。足の固定にはマイナスかなと…。
”さーべるたいがーの牙”。デザイン的にはカッコいいと思います。
機能的には…。
触れてなかったですけど、今作はタンの縫い付けは無いので、履き口は広いです。
続いてクッションと動きやすさに関して。
クッションで特筆すべきは”アーティキュレーテッドズームエア”。
KD 8の為にデザインされたフルレングスズームエアユニットで、動きを妨げないように各所に切り込みが入ってる形状がとてもおもしろいです。

肝心の履き心地はというと…正直そこまで驚く程では無いかなという印象でした。
というのも、このエアバッグの上にファイロンミッドソールが敷かれてるので、そのクッション性の感触の方が自分としては印象が強いです。
多分これは自分の体重が軽すぎるからなんでしょうね…。
Zoom Airに比べて確実にファイロンの方が反発性が低いはずなので、自分の体重だけだと、ただ履いただけではファイロンの沈み込み程度しかクッション性を使い切れないんでしょうね…。
もちろん、プレイ中にファイロンの反発許容範囲を超えてショックが掛かった場合はAirの反発を感じることが出来ますし、適正体重の方であればこのZoom Airを享受出来ると思います。
自分みたいに軽いプレイヤーは、ポイントに配置されたエアバッグの方が、Airの主張を感じられるのかもしれません…。

今作の目玉なエアユニット(長いので省略)。
切れ込みのおかげで、屈曲性良好です。
初めて足入れして、前後左右に動いた時に感じたのは、”どこかで似たような感覚が…”。
幅広な前足部、アッパーよりも外に張り出したアウトソール、キツ目の反り…。
そこで出た答えは「あ!運動靴!」でしたw。
と言うのは、広い前足部のお陰で足へのストレスが少なく、それよりも広く取られたアウトソールによる安定性、それでいて反りによる前方向への動きやすさがオールラウンド目的に設計されてる運動靴のコンセプトに近いのかなと個人的には感じました。(ここで言う”運動靴”は競技特化型のモデルではなく、学校の”体育”等に使用してる感じの靴を示します。)
もちろんこれはポジティブな意見で、ストレス無く動きやすいと感じます。
外側に張り出したアウトソール。…というか、アウトリガー側を写しても参考にならないですね…。
下手で本当に申し訳ないです…。
アウトリーガー側の切れ込み2ブロックにはTPUパーツが入ってるので、外側に荷重がかかるシーンでも曲がりすぎず安定します。
ただ、クリアソール越しに見てみるとそこまで深くまでは配されて無さそうです。

真ん中2ブロックのみ色が違う部分がTPUパーツ。
硬質のパーツでしっかりしてます。
動きやすさに関して1点触れておきたいのは、エアユニットがある部分とない部分のつなぎの悪さからくる”違和感”。
先端のブロックは余り使わない位置かなと思ったんですが、履いてみると分かる通り、ちょど親指の腹部分に来るので案外使う部分。
この違和感の発生原因は、反りの強さとエアユニット有り/無しの高低差の繋ぎの悪さからくるものと思われ、一定の角度から急にガクッと来るのでちょっとストレス。
前作に比べてミッドソールが薄く、フロアの感触がわかりやすくなっただけに、親指のこの感触はちょっと残念に感じます…。

最後にグリップ。
パターンはブロック+ヘリンボーン配置の組み合わせ。
クリアソールだからですかね?ラバーが硬めで、…止まらない。と言うか粘らない…。
ある程度は喰いついてる感触があるんですけど、ある程度の負荷が掛かると弱めのスキール音と共に”抜けてしまう”。
クリーンなフロアが羨ましい…。前作の方が確実にグリップは良好だったと思います。
ソリッドであれば柔らかいのかな…。

ブロックが無数に配置されてるだけだと思ったら、よく見るとヘリンボーン型に配されてる。
グリップは…。
26.5cmで325g。
前作と比較してもとても軽くなりました。
オマケ。製造誤差ですかね、左右で重さが違いましたとさ。

ということで、以下の様に評価してみようと思います。

フィット … 6/10
グリップ … 5/10
ベンチレーション … 8/10
クッション … 9/10
コスパ … 6/10
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ALL … 34/50

前作より確実に履きやすくはなったんですけどね…。
EPになった事でフィットが甘くなってしまったことが個人的には一番残念でした…。
リファインされたクッション性が良好なだけに、グローバルモデルがちょっと気になる…。

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