Nike Kobe A.D. レビュー

Kobeの引退試合から早8ヶ月。合っというの間に今年も年末になってしまいました。

そして、来る12/3。
引退後の初Kobeモデル、Kobe A.D.がリリースされました!
個人的にKobeシリーズとの相性が良いことも有り、今作も発売日を指折り数えていたほど楽しみにしてまして。

さて、そんなKobe A.D.が到着し、部屋の中での試し履きでのインプレッションは”おや?”。
そして、実際にプレイに使用してみての感想は”あれ?…”。

…というわけで、早速詳細を見てってみようと思います。
今回もファーストカラーの”Ruthless Precision”。
直訳すると”冷酷な精度”ということで、Kobeの正確無比なショットからのネーミングではないかと、勝手に推測してみます。
ヒールカウンターのマジョーラ的なカラーにイチコロ。


まずサイジングですが、フォアフットが若干タイト気味。
ファーストカラーは、大概海外モデルと共通のラストだったりするので、これも例外では無いかもしれませんが、Kobe 10・11とフォアフットが少し広めだったことも合って、余計にそう感じ易いのかもしれません。

このタイトさ、人によっては苦しいかもしれないので、要試着&ハーフアップまで検討を。
自分は薄めのソックス+マイサイズでなんとか。
ヘタリの少ない厚めのソックスだと、ちょっとキツイかなーと感じました。

Kobe 9 EM・10・11 Eliteと同じ構造のインナーブーティー。
アッパーはフューズ+メッシュの組み合わせに(このマテリアル、なんて言うんだろう…。)ステッチでパターンが描かれてるもの。

メッシュ+ステッチの組み合わせは、Jordan Super.Fly 5に似てますね。
少々硬めですけど、少し癖が付けばKobeシリーズのフレキシビリティは健在です。

ロックダウンはインナーブーティを、アッパーの内側を通ったFlywireで抑える構造。
シューレースは細めの丸紐。
締め上げやすいです…が、2回締めた段階でほつれ初めたけど、大丈夫だろうか…。

アッパーへのステッチ。渋くて良い感じ。
インナーブーティーの形状は従来のKobeシリーズと同じかと。
アッパーの内側を通ったFlywireでロック。
こちらも従来と同じ構造。
ピントが合って無くて分かりづらいですが、ケバケバしてきました。
タイト目なサイジング+Flywire、細めのレースもあって、前〜中足部のフィッティング・ロックダウンは良好。

また、今作はヒールのパッドが増し増し(踵大きめな人はこの点も注意した方がいいです。)な事もあって、上方向に対しての抜け難さが前作と比べて大幅に良くなりました…が、ヒールの左右の抑え込みはもう一歩欲しい所。左右の切り返しの時に遊ぶ感覚がほんの少しですが気になりました。
これはもう、外付けヒールカウンターがどうこうの問題じゃ無い様な…。(後端の横ずれには効きますが…。)
個人的には、Kobe 8の様に切り込みが入った独立式にして、もう少し中足部を抑え込めれば改善出来る気がしてるんですけど、マイナスデザインの観点で駄目なんですかね…。

パッド増し増しなヒール。
抜け感は皆無です。
ちなみに、ヒールトップのアイコンは蛇でした。
そして、履いてしまうと効果は無し。
ヒールタブとして使うときのすべり止め扱いですかね。
外付けヒールカウンター。格好良い!(中二)
足底のフィット感、特にアーチ部分のフィット感はここ一番の良好さ。
慣れないうちは土踏まずが痛くなるという、フィット感高いあるある。

今作はインサート構造では無く、ミッドソール+底材+インサートの仕様に変更されており、底材自体がシャンクも兼ねてかしっかり目なこともあって、アーチ部のサポートも強め。
インサート方式の”沈み込んでフィット感が上がる”という方式は個人的にとても好みですが、ミッドソール上に硬めのシャンクが入ることで、アーチへのサポートを強化しつつ、反りが強めになりスムーズに足運びができる感覚というのも決して悪くないかと。

インサートはKobeシリーズ初?(ではないかも。そう言えばKobe 10のインソールは捲らなかったなぁ…)のOrthoLiteインソール。
少し調べてみた所、軽く、防湿性・耐久性に優れ、防臭・抗菌までついてくるというまるで夢の様なソールらしいです。(正直詳しく理解していない…。)
確かにルナロンソールで必ず感じる足底の蒸れは無く、アッパーのメッシュも合わさり、靴内部はかなり快適。
クッション性は…ミッドソールの印象が強いので、割愛します…。

フォアフットにはKobe 10と同じように、格子状のカットが施されてました。

今作はインサート方式では無く、ミッドソール+シャンク+インソール方式に。
インソールはOrthoLite。
蒸れは確かに無く快適。

フォアフットはKobe 10と同じく菱形状のカットが施されてます。
これにより、フォアフットのフレキシビリティに貢献してます。
ミッドソールは、10・11から引き続きフルレングスルナロン+ヒールZoom Airのセット。
…なんですが、固めの底材がある為か、同じ構造のKobe 10に比べても固めの乗り心地。
また、これまた底材のおかげでピンポイントに沈み込むわけじゃないのと、いつもの鈍感足なこともあり、ヒールのZoom Airは感じず…。

半面、従来のモデルに比べて反りが強めなので、とても走りやすいです。
おそらく、Kobeシリーズには珍しくフォアフットに若干反り返りが入ってるのもポイントかと。

 個人的に気になったのは、少しミッドソールが厚く、従来モデルに比べるとフロアから離れているので「乗ってる」感が強いことと、バランスが「弱前傾」であること。

ちなみにインとアウトで構造が違い、インサイドはルナロン地材・アウトサイドはKobe 10と同じようにラバーコーティングが施されてます。
確かに外荷重に対してしっかりとした踏み心地。


インサイドはルナロンの地材。
アウトサイドは全体をラバーが覆う構造。
外から触っても結構違います。
アウトソールは前~中足部までがノジュール、中~後足部はメッシュ状のパターン。

ノジュールもメッシュパターンも"カイロ・ペンタゴナル・タイリング"という、五角形4つを組み合わせて六角形を形成する幾何学模様で構成されており、規則的なパターンが個人的には美しいなと。

なぜこの幾何学模様を採用したのか?の背景は、リサーチ不足なのか解明できませんでしたが、個人的推測で、"無駄なスペース"が無く、かつ"あらゆる方向・捻り"に有効なパターンとして採用されたのではないかと思ってます。

前~中足部はノジュール。それ以降はメッシュ状のパターン。
規則正しく並んでるパターンが美しいなーと。


後足部のメッシュパターン。
こちらの方が特徴的なパターンがわかりやすいかと。
ちなみに、写真ではわかり辛いですが、フォアフット部のノジュール3点を一片として、ミッドソールに切込み入ってます。
Nike Freeからインスパイアは今作も継承されます。

で、肝心のトラクションですが、"良すぎて悪い"でした…。
ラバー自体は、柔らかくとても粘るものが採用されており、強烈なグリップを発揮します。…が、かなり埃を拾いやすく、すぐにスリッピーになってしまうというスウィートスポットの狭さ。(Lillard 2もこんな感覚だったなぁ…。)
埃が多めのコートで使おうもんなら、濡れ雑巾があったとしてもグリップ力を維持できない程。

常にクリーンな状況を維持できる or クリーンなコートでの利用であれば、間違いなく十二分なグリップ力を発揮するとわかってるだけに、とても歯痒いです。クリーンなコートでプレイできるのが羨ましい…。

そして、個人的に一番気になったのはアウトリガー。
前作と比べて大分張り出しが少なく、小振り。まぁこれはいいんです。
ただ、切り返しの時に、剛性が弱く安定感を保つはずのアウトリガーが靴底側に巻き込んでしまうという…。
超軽量プレイヤーな自分でさえこれなので、かなり限界は低めかと…。
前作の様に縦リブが立っていれば、もう少し剛性稼げたんでしょうが…。

アウトソール側からだと分かり辛いですが、今作もフォアフット側に切込みが入ってます。
前足部のノジュール。
3点で一つ五角形を形成してます。
気持程度についてるアウトリガーは、正直役不足…。
最後に重量。
26.5㎝で344g。
Kobe 11より少しだけ軽くなってます。



という訳で、以下のように評価してみようと思います。

フィット … 8/10
グリップ … 6/10
ベンチレーション … 7/10
クッション … 6/10
コスパ … 8/10
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ALL … 35/50

Kobe引退後の初のモデル、歴代Kobeシリーズのパフォーマンスからちょっと期待しすぎて少しがっくり来てますが、しっかりと歴代Kobeシリーズのエッセンシャルが継承されて、シリーズが継続されることに個人的は安堵してます。
ただ、個人的に気になったのは、”従来のKobeシリーズで目指した「素足感」とは全く別のステージに移行したのでは?”ということ。

Hyperchaseではないですが、総じてKobeシリーズは「ナチュラルモーション」を目指したプロダクトのイメージで、特に「フォアフットのフレキシビリティ」と「後足部寄りの重心バランス」によって、文字通り”自然な足運び”を追求していたイメージですが、今作は「反りが強めの底材」「弱前傾のバランス」「つま先部の反り返り」の3点により”推進力高め”な作りになってるなと。

今後どのように変化していくのか、引き続き個人的には楽しみです!

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