adidas D Rose 5 Boost レビュー

Crazy Light Boostを履いてフルレングスBoostに興味が出たので、買ってみましたRoseシリーズ。
現行に特攻しようかと思ったんですけど、せっかくならフルレングスBoost搭載の初期モデルからーということで、今回はD Rose 5を選択してみました。安いし。
また、D.RoseファンなのでもっとRoseのシグネチャーシリーズは履きたかったんですが、如何せん今までのモデルはフレームが合わず、履くことが出来なかったんですよね。特に土踏まず周り。
なので、いきなり6に突入して失敗するとかなり痛いなーと…。
そんなこんなもあり、前作から入ってみようということで、今回はいまさらながらD Rose 5を見てみようと思います。

今回選択したカラーは”Brenda”、母へのオマージュとして作られたカラーリングで、初期カラーでも有ります。
好きな色の赤を基調に、一部分が青色という結構奇抜な組わせ。
ちなみに”Brenda”カラー、実はもう1つ有るという…。
Rose 5はカラー毎にアッパーのマテリアル・シュータンの形状、構造が違うという結構力の入ったモデルでしたね。


まず何より、サイジングがとても難しいモデルでした。
マイサイズだと横は丁度良いのに縦に長い。ハーフサイズ下げると縦は丁度いいんですけど、横が…。
実は2サイズ購入して履き比べてみたのですが、マイサイズだとプレイに支障が出る程縦に長過ぎました…。少し厚めソールを入れたんですけどね…。 
ということで、横幅が少し狭いですがこのシューズに関しては、個人的にはハーフサイズダウンで落ち着きました。

馴染んで横幅が広がる!…ということは正直期待しないほうが良いかと。
SprintWebベースのアッパーの剛性の高さがここでも遺憾無く発揮してくれますので…。

構造的には、インナーブーティーに上記のSprintWebベースにさらに1枚レイヤーを重ねたアッパーによる構成。
ブーティー自体は薄めのメッシュなので、ラストからして縦に長いモデルと思います。
インナーブーティーの切り込みはタンの付け根まで切られてるので、他の同構造モデルに比べて比較的履きやすいかと。

写真に納めづらいですが、サイドは低めのインナーブーティ構造。
個人的にはアッパー表面のこの仕上がりは結構お気に入りで、シューズにはあまり用いられてないものが採用されてるなーという印象です。
マテリアル的にはシンセティックレザーになるかと思いますが、仕上がりは光沢のあるアルミヘアライン的なパターンが施されて結構綺麗。履きシワが入ると残念に感じるほど…。

厚みもそこそこあるので、履き始めは硬め。
熟れてくるまで少し我慢です。(前述の通り、カラーによっては材質・仕上げがかなり違うので、すべてこういうわけでは無いです。)
全体的にパンチングが配されてる&SprintWebベースなこともあって、見た目の割に通気性派良好です。

仕上がりはとても綺麗。試着だけで履きシワが出てしまってますが…。
D Roseシグネチャーではお約束のアンクル周り。今作も漏れ無くガッチリ固定されます。

アンクル周りは、巻き上げられたミッドソール+TPUパーツの配置により、予想以上に”カッチリ”固定されます。
左右・前方方向に対して強めにサポートされるので、足首周りに不安がある人も安心して履けるかと。
ヒールカウンターのTPUパーツも剛性感に一役買ってますし、踵の掴みも良好。

アンクルに配されたTPU。結構硬め。
TPUパーツの裏側はメッシュが。
 さてさてお待ちかね、フルレングスBoostフォームに触れて見ようと思いますが、正直あまりポジティブでは無いです…。
併せて、全体的なマイナス要素も触れてってみようかと。

まずBoostフォーム自体はやはり素晴らしいクッション性だなーと再確認しました。
反発特性というより吸収特性で、発生した衝撃を上手いこと往なしてくれます。
ただ、CrazyLight Boostで感じた程の感動は無い…。
なんでだろうと自分なりにちょっと比較してみて気づいたのは、まず第一にD Rose 5の前後バランスが強めの前傾である事。
CLBも前傾傾向ですけどこのモデルに比べれば緩めの傾斜なので、ヒールストライクの時に踵へかかっていたストレスに対して有効なレスポンスを返してくれていたんだろうなと。
それがこのモデルでは強めの前傾の為、必然的にランニング中の起点が前足部になり、上手いことヒールのBoostを活用できていないなと。

サイドから見ると前景がイメージしやすいかと。
無理やりヒールストライクすることも可能では有るんですけど、ここでもう1点、CLBと比較してヒールのBoostが薄く、CLBで感じた”フカフカ”感はあまり感じられないということ。
柔らかいマテリアルなので、クッション性を強化しようとするとある程度の厚みを持たせる必要が有るのかなと。
その点で見た場合、CLBで採用された厚みはBoostの特性を感じ易かったのかなと。
この辺はダイレクト感とのトレードオフですね。
あわせて、フルレングスの割にBoostの恩恵が少なく感じるのもこれが理由かと。
アウトソールの塗り分けで分かりづらいですが、指の付け根までBoostフォームが入ってるのですが、どちらかと言うとダイレクト感が強く接地感が良い仕上がりに感じます。

CLBとの厚さの違い。
塗り分けで分かりづらいですが、指の付け根までBoost入ってます。
そしてもう1点、中・後足部はUltra Boostの様に裸の状態でBoostフォームが搭載されてるんですが、柔らかさが仇になって横方向の動きの際にズレるような不安定さを感じます。
ちょっと例えが難しいですが、真横へのスライドの際にアウトソールはグリップして止まるのに、ミッドソールより上は慣性に負けて少し外に逃げてしまう。
結果、次のアクションがワンテンポ遅れてしまう事が何度か。

個人的にはこの辺りにBoostフォームをバスケットボールシューズに用いることの難しさがあるのかなと感じました。
ランニングの様に綺麗に縦方向に対してだけであればこの実装でも問題は無かったのでしょうが、前後左右に動くバスケットではこの実装では強度不足。
かといってサイドを他のパーツで補強してしまうと、独特のクッション性が損なわれてしまう。(CLBも後方の裸の部分と、前側の隠れてる部分では感じるクッション性違う。)
もし最大限生かすならば、ZoomAirの様に局所的な実装なのかもしれません。
この辺り、現行はどちらかというとCLBのようにサイドを覆う形に変更されたので、この辺りがどう変わったのかとても興味があります。

中・後足部は裸の状態でBoostフォームが実装されてます。
インソールの下もBoostフォームのボコボコ感。
ちなみにインソールはいつものペラペラ・ツルツルなので、交換前提で見ておいた方がよろしいかと。もしくはソックス等での対策を。
ただ前述の通りの前傾なので、クッション強化などの傾斜付きとはあまり相性は良くないかと。
余談ですが、形状的にはCLBで使用されてるものと同じですけど、厚さは若干こちらの方が厚いです。

インソール表面。決めの細かい(ツルツル)処理。
裏側のパターンはCLBと一緒ですが、厚みが少しだけこちらの方が厚い。
アウトソールのグリップは良好です。
感覚的にはD Lillard 1のクリアソールのグリップ力に似てるかなと。よく粘る。
前足部はヘリンボーンですが、中・後足部にかけてはブロック状のパターン。
パターンの差か、前足部のグリップの方が強めに感じます。なぜだろう、この辺りを見ても前足部起点な感じが…。

アウトーソールの下にX状のシャンクプレートが配されており、この影響も有り反りが強めでとても走りやすいです。ただここでも1点だけ…。
ヒール側はこのプレートがある箇所だけ少し盛り上がっており、実は平面では無いです。
なので、少し踵の接地感は違和感が…。まぁ気にしません!この靴は中足部が起点ですし!

グリップは文句無し。
シャンクプレートは踵の下が少し違和感…。
重量は26.0cmで376g。少し重めですかね。


という訳で、以下のように評価してみようと思います。

フィット … 7/10
グリップ … 7/10
ベンチレーション … 8/10
クッション … 9/10
コスパ … 6/10
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ALL … 37/50

クッションはやはり素晴らしいと感じます。ただ、そのクッションのデメリットも見えてしまったなーと…。
この点が現行でどのように変化してるのかとても気になってますので、近く履いてみようかと思います。

これはちょっと思ったことですが、同じポジションで同じ不安を抱えるプレイヤーなのにここまで特性の違うシューズに仕上がるというのは面白いなーと感じました。
足首周りに不安を抱えるプレイヤーと言われて、早い段階でS.Curryの名前が浮かぶと思いますが、あちらはどちらかと言うと全体的にフレキシブルで素足感的なアプローチに対し、こちらは硬質・前傾を重視し、スピードを稼ぎたい様に見えます。
プレイスタイルの違いはもちろんあるので、単純比較という訳にはいかないのは十分わかってるのですが、何より興味深いのは足首周りの固定にここまでの差が出るんだなーと。
NBAでは基本的に足首にテーピング・サポーターの着用が義務付けられてる様ですが、それを踏まえて更に固定をしたいRoseの恐怖心が垣間見えるような気がします。
まぁ、あくまで個人的憶測では有りますがね…。

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