adidas D Lillard 3 レビュー

”なにこのアッパー??”

初っ端から疑問で始まりましたが、今回はD Lillard 3(aka Crazy Time…ということで良いですか?)を見てみようと思います。

いや、本当に初めてこのモデルの写真を見たときは奇抜デザイン過ぎて軽く混乱しました。
いやーこういうアグレッシブなモデル見るとワクワクしちゃいます。(良いか悪いかはさて置き)
今年のAdidasは攻めたモデルが多いですねー。というか全部攻めてますね。
イケイケなadidas。果たしてどうだったんでしょう?では早速!

今回も国内価格があれなこともあり、海外取り寄せで購入しました。(約15000円程だったかと)
なので国内販売のモデルとラストが若干違うかもしれませんが、何卒ご了承の程。

今回選んだカラーウェイは”Rip City”。
Lillard 2も同色でしたが、個人的にはこのブレイザーズホームなカラー・配色がとても好みです。
今回はガムソールじゃなかったですが。


サイズ感は縦が長め/横幅狭め/甲周り低めで、Lillard 2より若干狭い様に感じます。
今回もマイサイズで購入してみましたが、捨て寸がそこそこ出てしまうのが気になる所。
かと言ってハーフダウンすると横幅が狭そうなのでなんとも…。

構造は、最初写真で見た感じ特徴的なタンだったのでadidasお得意のラップ式かと思いましたが、今作もスリーブ+ アッパーによるサイドからの補強という組み合わせでした。

スリーブは従来通りのTechFitに”FUSEDMESH”というマテリアルを合わせて、通気性/剛性/柔軟性を兼ね揃えたとのこと。表面のサーフェスは若干粗目のテキスタイルで、この部分がメッシュということかと。

通気性は…まぁ、スリーブですので…。

アウトサイド
このシルエット、かなりインパクト有りますよね。
インサイド
履き口は広めなので、スリーブ構造の中では足入れし易い方かと。
サーフェス。
肌触りは少し硬め。
足入れだけで適度な密着感が有り、スリーブのフィット感は良好。

Rose 7で言うところの”カラー”に当たるこの部分は、左右均等・等間隔にレースホールが空いていて、何処にでもレースを通せるという仕様。

好みに合わせて選べるシューレース(ホールじゃね??)”というadidasの説明通り、確かに自分の足・好み・気分に合わせて自由自在にレースホールを調整出来るというのはとても面白いアプローチかと。Lillard本人もコロコロ紐通す位置変えてますしね。

左右をこの”カラー”で挟み込む。
ちなみにこの通し方はLillardが実際に通してるパターンを真似てみました。
デフォルトだとこの様な通し方。
ちょっと絞め辛いですが、緩み辛くも。
ブーティとカラーの境を撮った写真なんですが、どちらかと言うとタンを見て欲しいです。
タンには溝が入っており、シューレースがズレない様にする工夫が。
さて、この”レースホールを自在に選択出来る” という事がどれほどのメリットか?と言われると、…正直うーん。

確かに、甲の高/低に合わせてある程度調整出来る構造かなとは思いますが、ことフィットに関しては、”どれだけカラーを最適にフィットさせられるか?”のほうが重要と思いますし、そもそも高/低に関しても根本はスリーブに依存しますし…。

肝心のロックダウンは決して悪くないです。
フォアフットのスリーブを直接締め上げる部分もきっちり抑えられますし(レースラインの最下段がかなり手前側で、強めに絞めすぎると足の中足骨が圧迫されて動き辛く感じましたが。)、中足部もカラーを”有効に密着させられれば”左右からのサポート・中足部の押さえ込み共に不満は無いかと。

ちなみにこのカラー云々は置いといてもヒールの掴みは弱め。
ヒールカウンターが付いてるので左右に対してはある程度抑え込んでくれるものの、上方向への掴みは甘めなので、デフォルトより更に1段奥に通して対処してました。
これにより後足部のを抑え込むが若干増すのでおすすめ。

自分は色々なパターンを試した結果、この通し方に落ち着きました。(なんの面白みもない、”カラーを効率良く締め上げる”無難な通し方かと…。)

ヒールカウンターは結構上まで配置されてますが、ヌケ感に関してはあまり効果無し。
左右のブレに対しては有効です。
パディングは悪く無いと思うんですけどね…。
最下段のラインが結構手前で、
自分の足だと丁度中足骨を絞めてしまうので、絞めすぎるとちょっと動き辛くなりました。

最終パターン。
”全部一番上を通せばよくね?”っていう安直な考えでしたが、結局これが一番しっくりきました。
ヒールの抑え込みの為、一段奥も通してます。
ミッドソールは前作から引き続きBounceフォーム。
今作もそこそこ厚みが有りますし、Bounce独特の”モチッ”とした感触が心地よく、個人的には不満無し。
体感的な感想ですが前作より若干柔らかく感じ、BOOSTフォームに少し近づいた用にも感じます。

バランスは弱前傾寄りですが、Roseシリーズに比べれば自然なレベル。
前足部の反り返りは若干有り、足運びは良好。フォアフット踏み込みのジャンプもし易かったです。

ミッドソールは今作もBounce。
個人的には不満は感じないです。
ソックライナー。
表面はいつもの”ツルツル”。
裏側。
構造的におそらくHardenと共通。
トラクションは不満無し。
ラバー自体が柔らかく、よく粘ってくれるので埃多めのフロアでも安心して切り返せます。

パターンはブロック毎に異なる方向に真っ直ぐ伸びるブレード。
このパターンに対してちょっとラバーが柔らかすぎるのか、踏み込み・切り返しでパターンが縒れる感触がちょっと気になりましたが、5回程使用した限りパターンが切れてしまうということは無かったです。

アウトソールのパターン。
ラバーが柔らかいのでパターンが縒れる感触が有るのはちょっと好みの別れ所かと。
拡大した様子。
一本一本が細め。
ミッドソール下には”56316”の数字。
祖父母の家の前の電柱に表示されていたコードで、この電柱を利用してシュートの練習をしていたとのこと。
ストーリーも結構熱いです。
重量は26.5cmで424g。
今期のadidasモデルはだいたいこのくらいの重量なので、特別重いとは感じないです。

そう言えばかつて”最軽量”を謳っていたのが懐かしい…。
あのごついLebron 13より重いわけで…。


ということで、以下の様に評価してみようと思います。

フィット … 7/10
グリップ … 8/10
ベンチレーション … 7/10
クッション … 8/10
コスパ … 6/10
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ALL … 36/50

”固定されたレースパターン”ということに一石を投じた意欲作だなと思います!

…が、個人的にはそもそもそこにあんまり不満を持ったことが無く…。
どちらかと言うと中〜後足部よりも最下段の方が気になる事が多い気が…。(このシューズもそうでした。)

このデザインになった背景というのがリリース時のドキュメントを見ても自分には読み取れなかったのですが、自分なりのぶっ飛んだ解釈をすると以下に有るのかなーと。

Lillardのシグネチャーポリシー(低価格で皆に届けたい)から、万人の足に合うように!
Lillard 1から一貫して”低価格に!”の姿勢を崩しておらず、これはLillardが貧しい環境で育ち、自身のシグネチャーシューズを低価格に抑えて皆に届けたいという意思からこのポリシーが継続されてますが、さらに十人十色な足に合うようにデザインされたのかと。

そもそも甲が高い
NBAのシューズ情報を追っていて、着用写真を見てるとどうも皆さん甲が高い。
(極端な例ですが、D.DeRozanなんてKobeシリーズのトップレースを一段下げてますし。)
なのでもしかしたら甲が高い場合、フィット感の印象は大分違う可能性があるかと。
(そして自分の足の甲の低さに気づく悲しみ…。)

上はあくまで個人的主観で、実質の真意は分かりませんが、どちらにせよ許容幅が広いプロダクトであることは間違いなく、新たなアプローチの一つなんだろうなと感じます。
そして現時点では”まだ”自分の足にマッチしていないのかなと。

例えば、通常のホールカットでアッパー全体にこのレースホールシステムが採用されたらかなり面白いのでは?とちょっと期待もありつつ、今後どのように昇華するのか楽しみです。
(それよりまずローカットは踵の抑え込みをなんとかして欲しい所。)

個人的にはこのコンセプトだったらもうちょっと良かったかなーと。

http://weartesters.com/wp-content/uploads/2016/12/adidas-dame-3-sketch-2.jpg

そういえばLillardはなぜBoostを使わないんでしょう??
Hardenには1作目からフルレングスBOOSTフォームが奢られ(まぁ今期のadidasモデルがBOOSTメインというのも有るかもですが)、RoseもBOOSTローンチ直後から採用されてますが、Lillardラインに関しては前回のASGモデルで限定的に利用された位。

BOOSTフォームを採用する事で販売価格が上がるのを嫌っているのかもしれませんが(Lillard 1から徹底的に”ローコストで!”というスタンスを崩してない)、最早セミシグと言っても過言は無い”Street Jam”シリーズで低価格のシューズを作れてますし、本シグ、でなくともPEには奢っても良いと思ってしまうのですが…。


さて、Crazy Explosive Lowが国内に来るのか怪しい所ですし全てのプロダクトを履ききれたという訳では無いですが、D Lillard 3を履いたところで今期のadidasモデルのメイン所は抑えられたかなと思います。
それを踏まえて、総じて”レースパターンのチャレンジ”が多かったのかなーと個人的には感じました。

Rose / Lillardのカラー然り、Hardenのアッパー二穴通し然り。
Crazy Exprosiveも割と普通に見えますが、かなり深い位置でかつ間隔を空けたレースホールの位置で、最下段は若干Wのようになってる遊び心。
CLBは今一歩でしたし…。

個人的にはとても楽しめたのですが、純粋に”パフォーマンス”としてみると、少し癖が有り今ひとつオススメしきれない所かなと。直近のモデルは特に。

その点Nikeのシューズは良くも悪くも無難な印象で、”踵の掴みが…”と言いつつも自分が履いた限りadidasのローカットモデルほど致命的な抜け感もなく安心して履けてるのでこここぞという場面ではNikeシューズを選んでしまう状況。(面白みは薄れてますが。)
また、国内価格があれなこともあり、ちょっと魅力が下がってきてしまってるので、ここらで一発魅力的なモデルが出てきてくれることを願います!(と言いつつ、なんだかんだ買って履いてみたくなっちゃうんだろうな…。)

もちろん十人十色な足の形なので一概に言えず、合う人にはドンピシャなプロダクトかもしれませんので、その点はご了承の程。

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