Nike Kobe 4 Protro レビュー

さて、遂にこのモデルまで辿り着いてしまいました…。
正直レビューをするのも烏滸がましいと感じる程のモデル。
そうです、”Protro”を遂に扱わせて頂きます。

というわけで、今回は”Nike Kobe 4 Protro”をレビューしてみようと思います。

このシリーズに触れるのは正直恐いです…。Jordanのナンバリングに触れるのと同じくらいに。

このブログを序盤からご覧頂いている方や、大体の記事を眺めて貰ってる方はお分かりと思いますが、自分がバスケに戻る起源はRoseにあり、シューズ探求に入った起源はKobeにシリーズにあります。
自分が「最適なシューズを探す!」となったキッカケはKobe 8 Systemにありました。当時それ程までに衝撃を受けたモデルだったんです。
それまでの間はバスケから離れていたわけで、もちろん2009年にリリースされたKobe 4オリジナルは勿論履いていないワケです。
メディアとしては全然若輩者な訳ですはい。

だからこそ、オリジナルを履いていないからこそ過去にリリースされたモデルの復刻のレビューって正直本当に恐いです…。
でも!それでもせっかく履く機会に恵まれたからにはちゃんとお伝えしたい!という事でレビューさせて貰います!
「オリジナル履いてねぇヤツが語んじゃねぇ!」という方は、そっとブラウザを閉じて頂ければと…。

で、なんで「1からじゃないの?」って話なんですけど、これは気分的な順番の差ですので、あまり気にしないで頂ければと…。(勿論1もシッカリお伝え出来ればと思ってます。)

では早速!

今回選んだカラーは…というか、これ以降出てこないのは一体何なんですかね??
このモデル、思い入れ深い方いっぱいいらっしゃると思うんですけど…。

カラーは”Draft Day”
Kobeを1stピックしたのはCharlotte Hornets。その後LALにトレードされたというのはとても有名な話ですね。


デザインに関しては自分が知らないところまで網羅されてる@_a.k.a.shiccyoさんのブログをぜひぜひご参照のほど!
本当に詳細なポイントまで纏まっていますので!!!
http://akashicchannel.blog.fc2.com/blog-entry-22.html

自分はこのモデルのデザインエッセンスに関して詳しい訳では無いので、シンプルに見て感じたままをお伝えします。

アッパーは…これ、なんて言えば良いんですかね?
過去の記事類も漁ってみたんですけど、詳しく言及されてるものが見つかりませんでしたで…。
なので恐らくレベルでは有るんですけど、シンセティックレザー & フューズを組み合わせた物かなと自分は思ってます。
(サイドパネルのFlywireをサンドイッチしてる部分がフューズ、それ以外をシンセティックレザーが覆ってると思います。)

トゥボックスの形状から若干ノスタルジックな印象を受けますけど、それ以外は今でも十二分に通用するデザイン。
如何せん、このモデルは配色が本当に綺麗で、Hornetsのテーマカラー、ホワイトベースにライトブルーの爽やかさが個人的には大好物だったので今見ても格好良く感じちゃうんですよね。
アウトソールとヒールカウンターのクリアブルーが余計に良いアクセント。
(あれ?スケルトンブームだったっけ?と思ったけど、iMacは更に前のお話でした。)

アウトサイド。
今見ても全然格好良いデザインですよね。
インサイド。
トゥボックスの形状。
アウトサイドから覆う形状で、インサイドは中足部付近で切れてます。
恐らく屈曲目的。
では肝心の機能面を!

まず特筆しなければいけないのは”ローカット”である事かと。
当時はミッドカット全盛の時代(だったらしいです…。すみません、当時不在だったもので…。)、”ローカットなんて足首保護できなくて怪我するだろう”と言われてた時代な訳で、このモデルが如何に異端なモデルだったかがお解り頂けるかと。
それでもこのモデルをトリガーに今日に至るまでローカットモデルがラインナップされ続けてる、寧ろローカットモデルの方が多い状況を見るとバスケットボールシューズと言うカテゴリにおいて”Zoom Kobe 4”というモデルが如何に重要なマイルストーンだったかを物語っているかと。

しかもこのネガティブな世論の中、当のKobeはこのモデルを履いてシーズン全試合に出場し、チャンピオンリングも手にしてしまってるのだから更に驚き。


さてさて話を戻します。
内部はハーフブーティーで、外側からアッパーが覆う構造。この時代で既にこの構造だったんですね…。

上でも触れましたが、FlywireはアッパーにインストールされていてFlywire特有の紐感が無いのが素直に嬉しいポイント。(直近のKDで痛かったから余計にそう見えてしまうのかもしれないですけど…。人によってはこの紐感で痛みが出てしまいますしね…。)
無論これはアッパーの仕様で使い分けなければいけない部分と思うので一概には言えないんですけど、自分はサイドパネルでよっぽどがない限りはマッチしないということは無いので、ここはしっかり目のアッパーを用いられている方が好みです。
(Flywireの紐感を出すモデルは大概このサイドパネルを柔らかめにして足にできるだけ沿わせたいっていう設計思想なんですけど、これが合わないとハムになっちゃうんです。喰い込むんです。痛いんです。)
最近この仕様なくなってしまいましたよね…。

ラストは細長。
(このシリーズ、EPが無いのは個人的には素直に嬉しいポイント。)
Kobe 1 Protroと同じサイズ感を想像して同じサイズで購入したんですけど、Kobe 1より少し長めの印象。
でも横幅は狭いので自分は更にハーフ下げて追い込むと大分窮屈になりそうな印象。
この辺り流通が絞られてる&他のカラーが出てこないので足数が少ない=フィッテイング機会が少ないのは痛いポイント…。
Zoom Kobe 4を履いてた人は同じサイズ感で大丈夫と思いますが、初めてトライされる方は伝手を辿って一度足入れして貰えるのがやはり一番良いと思います。

フィット…、ロックダウンに関して1点だけ物申したいんですけど、自分が紐を締め上げると最上段 & 上から2段目の紐がシュータントップの一番クッションが有るエリアの下に入ってしまって食い込んでしまって痛いんですけど、これって何か解決方法が有るんでしょうか?…。
(初めてDeRozanみたいに1段下げました…。)

この時にはもう既にこのインナー構造があったんですね…。
本当に勉強になる。
インナーの内側。
当たり前ですけどFlywireがここを通らないのは自分からすると結構新鮮に映ります。
インソールは低反発系、Kobe 1と違い低いながらアーチもあって足裏のフィット感は結構良いです。
それでも近代Kobeシリーズに比べると若干低めのアーチなので、ちょっと物足りなく感じる人もいるかも知れないです。

さてさて自分が一番気になってた部分。この辺りオリジナルと一番比較したかったポイントなんですけど、それは”ヒールの収まりはどうか?”という事。
ローカットのパイオニア的モデル、それこそミッドカット主流の時代においてよっぽどミッドカットよりバリューを産めなければ淘汰されてた筈なのにそうはならなかった理由がどうしても気になっちゃったんです。

CARTERさん記事によると、オリジナルと比べてヒールパーツの長さとパッド周りの高さに差が有るようですが、収まりに関してはそこまで差は出て無さそうですね。
(こういう比較出来るのって本当に羨ましいですし本当に凄い事だと思います。)

さぁ実際はどうだろう?というとKobe 4 Protroにおいて判断するならば「無問題。むしろ既存ローカットより完成度が高い」というのが個人的印象でした。
シッカリとしたパディングと横ブレを抑えるヒールカウンター、踝下もシッカリとフィットしてくれてました。
…まぁ根本的な話、自分はKobeシリーズ、いやNikeローカットモデルと相性が良いのかよっぽどがない限り抜けてしまいそうな不安というのが少ないのですが、その中でもズレ・ブレの少ないフィーリングでした。

肉厚でシッカリとしたパッド周り。
収まってしまえば抜け感は自分は感じず。
ヒール裏には”6.26.96”の印字。
これはKobeがドラフトされた日ですね。
右のアウトサイドにしかKobeのサインが入ってない控えめな感じが実は結構お気に入りポイント。
ヒールの収まりに関してはもう1点触れなければ行けないポイント。
これはKobeシリーズにおける一つのアイデンティティーと思ってるんですけど、乗った感じのバランスが”弱後傾”である事かと。
自然にヒール側に重心が下がる事で結果的に足が前へスライドし辛い状況が作られてるなーというのが個人的感想でした。
この特性A.D.以前のKobeシリーズ全般で感じてたポイントだったので、「あぁ…Kobeモデルだなぁー…」と。
この特性って結構足運びが重くなりやすいんですけど、反面ディフェンスの時とかに安定するので自分は結構好みです。(最近はもうちょっとフラット寄りの方が好みなんですけど…。)

これらを総合すると”ミッドカットと同程度のヒールフィットが提供出来る”を普通にクリアするので、あとはミッドカットによる足首周りのフォローを正とみるか?自由度を正と見るか?で評価は二分しますが新たな選択肢として淘汰されずにラインナップされていった & 有効性から増加していったんだろうなという結論に至りました。


さてさて、物議を醸したソール周り。
先日バッサリ行かれましたが、結果的には”フルレングスファイロン + ヒールZoom”というセットアップという結果に至りました。
オリジナルはファイロンベースにヒールZoom + フォアにルナライトというセットアップだった様で、オリジナルのフィーリングを踏襲しつつアップデート(?)した結果こうなったんでしょうね。
…本音言ってしまえば正直フルレングスZoomを奢って欲しかった思いは有りますが、特性の一つなフォアのフレキシビリティは確実にスポイルされてしまうので、それはそれで全く”別物”になるから見送られてしまったのかなーと変な納得をしています。
(コストも上がりますしね…。)

https://i0.wp.com/weartesters.com/wp-content/uploads/2019/04/Nike-Kobe-4-Protro-Deconstructed-2.jpg?w=908&ssl=1
こうやってカットサンプルを見ると若干フォア寄りに傾斜に見えるんですけど、体感は後傾なのが不思議。

インソールは上でも触れたとおり低反発系の物が採用されており、足馴染み・足当たりはやはり流石。
底材にもクッション材が1枚追加されてるのも足当たりの面でプラスに働いているかと。(これもオリジナルと同じ仕様なんでしょうか?)

さて肝心のクッション性ですが…、素直な感想は”普通”でした。
ヒールのZoomはとても感じやすく、例えばヒールストライクやヒールに強い衝撃が加わった時の衝撃吸収正の高さはかなり良好なので、この辺りは素直に好感触に感じました。
フォア周りはシンプルに”ファイロンのそれ”という感じでライトでフカフカなフォーム系の踏み味、それでいてシャンクはヒール直下にしかインストールされてないので凄くフレキシブルな特性…、総合するとやっぱり”普通”でした。
反面、もしかしたらこれは現行モデルを履いてるからその当時の革新性が見えてないだけかもしれないとも思います。

オリジナルの、特にフォアに入ってる”ルナライト”を踏んだ事が無いので深掘りしきれないんですけどベースはルナロンの筈なので柔らかモチモチだったんだろうなぁーというのは想像出来るんで、どうしてそれをチョイスしたんだろう?とか当時の背景が見えてくるともっと深いところに触れられるんだろうなぁと力不足を感じた次第…。
(勉強不足ですみません;)

インソール表面。
ヒール部にも”6.26.96”の印字が。
プリントなので剥げないのが嬉しですし、Hornetにちなんだ蜂の巣上のパターンが格好良い。
裏面。
低反発系のフォーム。
底材にも1枚クッション材が追加されてます。
アウトソールはオールヘリンボーンパターン。
色の切り替えポイントで角度を変えてるかなり凝ったパターンだと思います。
そう言えばトランスルーセントとソリッドを組み合わせる凝ったパターンって最近あまり無いですね…。

肝心のトラクションはというとかなり良好で、しっかりと粘ってくれる柔らかめのラバーという印象でした。
ホコリは少し拾い易いですかね?結構プレイ中に気になって拭うようにしてました。
まだ乾燥がきついのでかなり厳しいコンディションでは有りますが、荒れたフロアでも破綻するレベルでスリッピーになる印象は出なかったです。

アウトソール全体。
全体的なヘリンボーンパターン。
カラーの切替でヘリンボーンの角度も変えてる、結構凝ったパターンと思います。
パターンのアップ撮って無かった…。
シャンクは結構小さめで、アーチ直下なので主張は少なめ。
平織りのウェットカーボンですね。
最後に重量。
26.0cmで352.5g。
A.D. NXTの26.5cmと粗同じ重量なので十二分に軽量な部類かと。
…というか当時のラインナップの中だったら最軽量だったのでは???


ということで、以下の様に評価してみようと思います。

フィット … 7/10
グリップ … 8/10
ベンチレーション … 7/10
クッション …  8/10
コスパ … 7/10
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ALL … 37/50

スコアでみた場合に現行ラインナップと比べると一歩劣るかなぁーというのが率直な印象ではありますけど、これはそういうモデルじゃないと思ってます。
むしろ当時で”これ”という方がよっぽどインパクトが強いです。

現行モデルのローカットと比較すると上に1段高い様な?さながら”ミドルカット”に近い印象を受けましたが、それでもアッパーを極限まで切り詰める事で得た当時の中では圧倒的な軽量性や足首周りの自由度の高さは、今のメインストリームに大きな影響を与えたモデルだろうと感じます。
厳密に言うと更に前、もっとクラシックなモデルでもローカットモデルはラインナップされていた様ですが、ローカットという選択肢をメインストリームにまで押し上げたのは間違いなくこのモデルだった訳で、そういった意味でもこのモデルが打った楔の強さは計り知れないなと評したいです。

全然現代でも通用するパフォーマンスを持っていてるので、実用可能なクラシックモデルとしてもし機会があれば、当時履いてた方には尚更チョイスの一つとして1足いかがでしょうか?






…あれ?よく考えると”Protro”ってコレで良かったんでしたっけ???

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