adidas Harden Vol.3 レビュー

低価格モデルが続きましたが、久々のシグモデルを!(ちょっと古いですが…)

という訳で今回は、
”adidas Harden Vol.3”
をレビューしてみようと思います。
いや、違うんですよ。(何)

これはですね、昨年のブラックフライデーセールでadidas公式ストアでの投げ売りに出遅れ、であればスルーするかなー…と思ってたところにsumさんキャスで泥酔しながらプッシュするもんだから、Eastbayのセールも来てるしという事でポチッと…。
というわけですべてはsumさんが悪いんです。異論は認めません!(冗談

というのはさておき、個人的にはHardenシリーズは2足目。
Harden Vol.1はかなり好感触だったことも有り個人的には結構気になっていたのは確かなんです。
でも、Vol.2では求めている特性と大きく外れてしまった様な気がしてスルーした次第。
このVol.3ではすごくシンプルに纏まったエクステリアだったのも有り気にはなってんたですが、如何せん価格が…という感じで敬遠していた感じです。
なので、安価で入手できたのは結果オーライ。
(Vol.4も決して悪くは無さそうなんですが、エクステリア的にちょっと気になるポイントが有り、情報待ちのスタンスでした。)

そんなこんなで、1世代前ではありますがせっかく入手できましたのでレビューさせて頂こうかと。

今回チョイスしたカラーは”Playoff”
単純にセールだったというのもありますが、通常版はフォアフットのバンド部分にHardenのサインが入るところこのカラーは”SCHWAAAG”のプリントが施されている仕様。

…調べてみたんですけどこの”SCHWAAAG”の意味がわからず。(誰か教えて下さい…。)
PEモデルで他にもこの表記のカラーは有るみたいですが、市販品ではこれだけの模様。
あと独特なバーガンディカラーに惹かれたというのも有ります。
では早速!


まず外観から。

1stから…というかNike時代から初志貫徹してLowカットのシルエット。
上でも触れたとおりフォア部分にはラバーバンド。

アッパーは…いやその前に。

あの、ここまでカラー毎にマテリアル変えられてしまうと評価がとても難しいんですけど…。Hardenのみならずな話ではありますが。

商品説明では”テキスタイルアッパーにシンセティックオーバーレイ”としてある程度統一表記されてますが、…いやどう見てもニットに見えるし、グレーのカラーとかは明らかにメッシュだと思うんですよね。
いや、広義の意味でテキスタイル(織物)と言われてしまえば確かにそれまでなんですが、にしてもちょっと幅広すぎやしませんかね…。
細かい部分で言うとこのアッパー素材差って結構フィット・スタビリティにおいて差がでると思うんです。なのでできる限り統一したプロダクトの製法で有って欲しいなぁというのが一消費者としての意見です。(アイアンマンに関してはそもそもバンドすら付いてないし…。)

はい、話を戻します。
上でも触れましたが、アッパーはニットっぽいテキスタイルメインに親指部分の上部の補強とヒール周りのシンセティックレザーを組み合わせたもの。


レースループがとても面白くて、丁度バンドで隠れてる最下段&2段目まではアッパーの外側を締める構造、そこから最上段まではアッパーの内側を締めるサイドループ。
最上段はハトメ付きのアッパー貫通式。

ちなみにアッパーの切り替え部分もバンド下に。
トゥボックスのブラック部分と中~後足部にかけてのバーガンディによるタイガーストライプで別れてます。やはり良い色。

アウトサイド。
ヒールのトップが高い特徴的なシルエット。
フォア外側にミッドソールケージ。
インサイドはプレーンな見た目。
ケージも無し。
バンド部分の印字。
このカラーはサインが入って無いんすよね。
”SCHWAAAG”の意味を誰か教えて下さい…。
ちなみにリフレクティブでした。
隠れて見辛い部分ですが、1~2段目はアッパーの上を通したサイドレースです。
さてさてフィットに関して。

内部はハーフブーティのオーソドックスなもの。

ラストはここ最近のadidasモデルの様に全体的に広くて…ということもなく、若干の縦長という表現で正しいかと。
今回久々のHardenモデルということも有り、Vol.1から推測してマイサイズ(26.0cm)で購入してみたのですが若干縦が長いかなぁーと感じたのが正直なところ。
横に関しては結構調整幅広めなので、マイサイズ~ハーフダウン辺りでチョイスして貰うのがオススメになろうかと。

…あ、でもですね。
足幅細め&甲が低めの方(自分含め)にはバンドによるフィットの恩恵は粗受けられないので、その点は事前にご留意の程。

シューレースは過去シリーズで採用してた丸紐ではなく細めのフラット。
これのおかげでスルスル締め上げが可能。丸紐は解けやすいのも有りとても助かります。
シュータンも比較的厚めのものが奢られており、更にトップにはレザーパーツと硬質なHardenロゴがついてることもあり足当たりは柔らか。強めに締めていってもあまりストレスは感じ辛いかと。

これは個人的なオススメですが、少し足首は寝かせた状態でレースアップするとHardenロゴの部分に結び目が来るので更に良好でした。
足型によってかなり差がある部分ですので、一概に「全員にオススメ!」とは言い辛いですが、少なからず他のシューズでも足首を立てた状態と寝かせた状態でレースアップするとフィットが変わるというのは覚えておいてもらっても損は無いかと。


フィットに関して個人的に気になった部分は、1~2段目と最上段を除くサイドループによるレースアップ。

確かにデザイン的に、エクステリアとして見た場合にシューレースが露出しないのでスッキリしたシルエットにはできるんですが、この構造の難しいところはアッパーを使わずにどれだけ足に添わせつつ強度を稼げるか?ってところにあると思うんです。

一応、サイドレースに利用してるナイロンバンドはアッパー内側を通ってソール周りへ繋がってる事は確認できましたが、つまりは抑え込みにおける要素はインナーとこのナイロンバンド部分のみという事にも。
一応アッパーにも縫い付けは行われてるのですがカットの端部分なので、アッパー自体はフォローレベルの仕事になります。

この部分、形容できるほどの語彙力が無いんでお伝えし辛いのですが、例えばアッパー貫通式のシューズであればアッパーの張力をそのままロックダウンに活かす事ができるわけなんですが、今作の構造ではそれをすることが出来ない、というかなんというか。

「フィットがプア」という訳では無いんです。
ただ正直に申すならば、「シンプルにアッパー貫通式のレースホールの方が、おそらくフィットに関しては分があったのでは?」と。
プレイしてても若干この辺りの逃げを感じられたのが正直な感想で、もう少しレスポンシブなアッパーに仕上がってくれてたらもっともっと良かったのになぁーと。
ただ難しいのは前述の通りカラーによってマテリアルが異なる事。
例えば”Iron Man”の様なマテリアルだったらちょっと状況が変わるのかなーと淡い期待してます。

インナーブーティー。
タントップのハーデンロゴ。
(ちなみにこのロゴが浮いてて、紐を解く際に爪が入って切ったのは内緒。)
タンの内側にハーデンのサイン。
タンのこのレザー部分、他のシンセティックレザー系と比較して柔らかい質感のもの。
なんか高級感があって好きです。
ヒール周りの抑え込みに関してはここ最近のadidasモデルの中でも文句なしのトップ。
Vol.2がノンチェックだったので状況掴めてないですが、Vol.1のノッペリとした状況やここ最近のD.O.N IssueやProbounceシリーズなんかで見られた”変にヒールパッドが低い”という状況はなく、最適な位置に・必要十分なパッドが入ってました。

収まりが良くとても心地良い。…ただ、やはりadidasのローカットモデルは個人的にはちょっと合わないのか、ヒールの抑え込みと横ブレに関してはもう一歩なんとかして欲しいなぁーと感じます。
横ブレはヒールカップの硬度やヒールカウンター関連なのでさて置いても、ヒールの抑え込みに関してはシューレースラインのデザイニングで十分に改善できるポイントと思うんですよね…。
N社はこの辺が上手い様に感じてて、シューレーストップのレースアップに応じてヒール側に押さえつける力を生み出せています。

ヒール部分。
こうやって見るとやたらパッドを追加してる様に見えますが、ヒールの収まりはとても良好。
ヒール裏側から。
ハーデンの#13がレザーに型押しされてます。
ソール周り。

インソールは他モデルでも使われてる薄め&ブロックパターンの物なので割愛。
…ただ、N社みたいにすぐにヒール部分のプリントが剥げてこないので実は結構お気に入り。
接着はフォアフット下のみ。

底材は白い布地が敷かれてます。
これのおかげ+フォアのみ接着なのでインソールはとても剥がしやすいです。
とはいえ、adidasモデルってヒールパッドのせいか合わせられるインソールが限られるのがとても難しいところ…。
このモデルはアーチサポートが皆無+いつもどおり滑るのでできればサードパーティー製インソールに頼りたいところなのですが、最終的にはオリジナルのインソールでの使用が一番満足行く形になりました。

インソール。
ヒールのプリントは1x回程履いてみたものの全然欠けず。
インソール裏側。
見慣れた光景。
フォア部分にのみ両面テープの糊が見えるかと。
底材は白のファブリックな物。
薄いなにかを挟んでますが、基本的にはBoostに直に乗る形。
ミッドソールはご覧の通りフルレングスBoost。

今シーズンのラインナップは軒並みLightstrikeフォームを採用してるのが気になります(まだ実物拝めてないので結構気になってる)が、それはさて置き最後のBoostを堪能して行こうかと。

Vol.2をスキップしてしまったので1と3での比較になりますが、ボリューム&バランスはとても似通ってるかなと。
フォアよりもヒール側が少し厚めで、フラット~弱前傾のバランス。
浅めのフォア側は沈み込みも少なくレスポンシブ。フロアフィールもとても掴みやすく、履き始めから違和感なく乗れるかと。
ヒール側のボリュームによりクッション性もとても高い。

ただ、やはりBoostフォーム自体がちょっと柔らか”過ぎる”のが気になったというのがポイントで、特に厚く盛られたヒール側の横ブレがプレイしてて怖いと感じたのが正直な感想でした。
スピードレンジを上げれば上げる程この縒れが如実に顔を出し、左右切り返しでアウトソールより外側にヒールが持っていかれてしまう事も。
(できる限り避けるようにフォア主体のステップにしてみるなどの工夫をしてみたのですが、ヒール側がどうしても高いのでどうしても接地してしまうんです。)
この辺りは正直にVol.1の様にケージ(外側からアウトソールが覆いかぶさる)して抑えてくれた方がブレが少なく快適だったのになと個人的には思いました。

…まぁ、でもですよ。根本的な話をしてしまうと「これはシグネチャーシューズ」な訳です。
本人のプレイスタイル的にもスピードレンジが高い&スピードで勝負するプレイヤーでは無いのも確かなので、”本人の動きに最適化してます”と言われれば全く違和感が無いとも言えます。

なので、総合的に判定させてもらうならば”ダッシュ・スピード勝負の方にはあまりおすすめしません。”と纏めさせてもらえればと。どちらかというとシューターやブレを使って攻められる方の方が有効に使って頂けるかと。
特にHardenシリーズはフォア接地・フロアフィールの安定性に特に注力されてるので。

アウトソールは全面的に密度の高いヘリンボーンパターン。
ヒタヒタとフロアに貼り付く感じのトラクションで、グリップとしてはカナリ高めです。
この時期…まぁ基本的にどのシューズにおいても厳しいコンディションではありますが、パターンの幅が狭く細かいホコリを集めやすいのもあって、コートコンディションによっては1往復保たない事も。適度に拭ってあげましょう!

…そう言えばこのヒタヒタ感、Kobe8のアウトソールのフィーリングに良く似てました。

アウトソール全体。
中心部分はトランスルーセントですが、あまりグリップ差は感じませんでした。
パターンは全体的にヘリンボーンオンリー。
最後に重量。
26.0cmで385g。
フルレングスBoostモデルの中では最軽量級。


ということで、以下の様に評価してみます。

フィット …  7/10
グリップ … 8/10
ベンチレーション … 8/10
クッション … 9/10
コスパ … 6/10
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ALL … 38/50

スコアとしては高く採点できたのですが、正直な感想としては”必ずしもこれじゃなくても良いかな…”というところに落ち着きました…。

いや、すごく乗りやすいんです。基本的部分はすべて十分な完成度ですし。
例えばここ最近のトレンドなフレキシブルでコントロールのし易いソール周りと削り込まれたアッパー。シグネチャーなバンドは付いてますが、それ以外は極限まで削り込まれたパッケージ。

でも、例えばフォアフィール特化のシューズであればCurryシリーズやKTシリーズ、それこそテイクダウンでも似たフィーリングを得られてしまうと考えると、ヒールのブレ的にも私個人としては積極的な選択がし辛く…。

ただ上でも書かせて貰いましたが、プレイスタイルが合う方であり、このフレキシブル且つしっとりとしたクッション性がお好みであれば全然ご活用頂けるかと。


…それはさて置き、この辺り敢えて触れてみたいなぁと思います。
現行ラインナップではT-MAC Millenniumと一部モデル以外ではBoostフォームはどんどんバスケットボールカテゴリから影を潜めてきています。

個人的な正直な感想ですが、バスケットボールという競技においてBoostフォームは「あまり適さない」という風に感じています。
これまでのBoostフォーム搭載モデルでも何度も書かせてもらってますが、まずBoostフォームは根本的に重量が嵩んでます。他のフォーム素材よりどうしても重量が有るので、軽量なモデルが作り辛い。故にCLB(Crazylight Boost)は文字通りの”狂った軽さ”ではなくなりました)

次に特性。
Boostフォームにおける謳い文句の「バンバン跳ねる!」を体感出来た方はどのくらいいますでしょうか?
おそらく殆どの方がこの特性は感じられなかったのでは無いでしょうか。
それもそのはず、このBoostフォームにおける本来の働きは吸収特性であって反発特性では無いからと思います。
現物、それこそランニングカテゴリのシューズにも採用されてるのでBoostフォーム自体に触れたことが有る方が大多数と思いますが、基本的にとても柔らかい特性です。

ちょっと他カテゴリを混ぜた糞みたいな表現をします。
例えば車のサスペンション。これはミッドソールにとても似通った働きをします。
構造としてはダンパーとサスペンションの2つのショック構造を持ち、ダンパーは急激なダイブを抑制し、サスペンションの反発でショックを相殺する構造で、乗り心地であったりモータースポーツにおいてタイヤの接地を最適化する訳です。
Boostフォームは例えるならば”ダンパー”としての効果しかなく、マテリアル本体に反発エネルギーに変換する能力は粗無いです。
(ボツ過ぎるのでグレーアウトするか…。)

無論、このフォームにおけるメリットも勿論有り、一概に悪いと言う気は毛頭無いです。
例えばBoostフォームの特性として上げるならば、非常にフレキシブルであり、屈曲に対する追従性が高い事。これは大きなメリットでもあります。
足は、特にバスケットボールのような複雑なフットワークを駆使する競技において様々な屈曲をしますので、それらの動きに追従してくれるというのはストレスレスな踏み心地を提供してくれます。
素材的にフレキシブル過ぎる程柔軟になってしまうポイントも無きにしもあらずですが、その点はシャンクプレートを追加する事でしっかり補われています。

もう1点、これは自分の体感レベルですが確かに寒暖の差を受け辛い事。
オールシーズンで殆ど乗り心地に変異が無いといって過言無い程変化量の少ないフォームだなーと感じています。
オーソドックスなフォーム素材は熱を持つと、というか冬場においてもプレイ中の発熱でどんどん柔らかくなってくるのを感じられるのですが、Boostフォームに置いてはそれらの変化が粗感じられない or 感じられる程の変化があるのかもしれないが極微小に留まります。

これらの特性を持ったままもう少し反発特性を生んでくれたらもっと良かったのになぁーと個人的には思うばかりです。
少なくともPumaのNRGYフォーム(どちらも同じBASF製のビーズ集合フォーム)と同程度の硬度を維持してくれていたらもっと良かっただろうなぁーと。

兄弟喧嘩してる場合じゃないよ…。

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