Air Jordan XXXIV Low PF レビュー

うーん、凄く難しい…。
今まで履いた中でも一番表現が難しいかもしれません…。

今回は”Air Jordan XXXIV Low PF”をレビューしてみようと思います。…思うんですよ。

『史上最も最軽量のAir Jordan』

リリース前から気になっていたのモデルであることは確かなんです。
上記の売り文句も然る事ながら、32から33への流れやタイミング、様々なファクターが合ったとは思うんですけどFF(Fast Fit)がどうしてもフィット的にも機構的にも合理的にも思えず、それを脱却するかの様にオーソドックスな…というよりゼロベースで起こし直したからこそ個人的にはかなり期待値の高いモデルだったことは確かです。
それこそ「店頭に並ぶ!」という情報を掴めば店舗に赴き、何度も試着を重ねました。
価格が価格だったのとソールフィール的に妥協を許さない形状だった事も有り、とても慎重にフィッティングを重ねました。
(店頭で試着出来る…というより国内展開されているモデルがPFオンリーな事もあり、サイズを変えたりソックスを変えたり本当に色々試させてもらいました…。Eclipseプレートが中々の曲者で…。)

そんなこんなで月日は流れ、コロナ騒動とともに世界全体のマーケットが停滞し、34のローカットがリリースされた直後にディスカウントを重ねてまで市場を動かそうとした動きも有り、このタイミングを逃すまい!と入手に至った次第。

では早速現品見ていってみます!
今回チョイスしたカラーは1stリリースのこちら!
何故か本国のリリースにいないのと、本国でリリースしようとしてる(た?)カラーウェイ”CRISPY”だとアウトソールがトランスルーセントっぽいのは一体…。
まぁでもソリッドでも格好良いので気にしない!

デザインストーリーに関してはGK JUMPMANさんのこの動画がとても参考になると思いますので、ぜひ視聴の程!






まず外観から。

サイドからのシルエットを見るとミッドカットと粗同じなんですよね。
それこそ踝部分のパッドを切っただけなんじゃないか?っていう位瓜二つ。
逆によくここまでオリジナルのデザインを崩さずにローカットを作ったなぁという印象です。
ベースのホワイトや差し色のエレクトリックグリーンも相まって更に軽そうに見えるのがポイント。

何より際立つのはEclipseプレートによる貫通したミッドソール周り。
機能に関しては後にして、AJ34シリーズにおけるアイコンですよね。

アウトサイド。
なんかメカメカしくて格好良いんですよね。
本文で触れてないですが、トゥ部分にTPUガードがついてます。
インサイド。
アウトサイドと両対象なデザインで統一性が取れててよいなーと。
ではまずフィット。

まず構造としてはハーフブーティーにアッパーを重ねるというオーソドックスな構造なんですが、まずなんと言ってもインナーが特徴的。
従来のハーフブーティー構造ってシュータン部分に切り込みを入れてる場合がオーソドックスなんですが、このモデルにおいては接続されてる構造。

この構造って実は一歩間違うとフィットを損なう(余ったファブリックが折り畳まれるので)要因だったりするんですが、このシューズに置いてははそういった不快感は無く極めてナチュラルなロックダウン。
シュータン自体にクッションは入ってるとは言え薄め。なのに不快感無く足を抑え込んでくれるというのが結構不思議な感覚で、ストレスフリーなフィットを提供してくれるかと。
縫製で癖をつける事自体は確かに可能だと思うんですけど、伸縮性の無い素材でこんなにも自然に折り畳んで邪魔しないというのは個人的にはかなりびっくりなポイントなんです。(昔、同じ形状でも不自然な折り畳まれ方して痛い(物理)思いした事が有るので…。)

シュータンの横部分、とても綺麗に折り畳まれるので本当に干渉が少ない。

レースアップよるロックダウンはアッパーに取り付けられたレースを介す形状。
最上段のみ貫通式のレースホール。

正直見た目的にも華奢に感じますし、確か切れた報告も…。
自分の場合は切れるまでは至らないものの一部伸びてしまうという状況に遭遇し、耐久性として見るには若干心細いというのが正直な感想になろうかと…。

ビョーン。

と思ってたら、実際はこんな事になってました…。


まぁ付け根を止めてるだけなのでいつかはなると思ったのですが、まさかこんなにも早いとは…。(早速Nikeへ問い合わせ…)

話を戻します。
機構はさておき、ロックダウン自体は割としっかりホールドしてくれます。
ただ、自分の甲が低いからか上から2~3段目に来るレースループのせいで締まり切らないという状況に遭遇。
自分の様に薄足の方は潔く”通さない”というのも一つの選択肢として覚えておいて貰えると。

今回チョイスしたのはPFモデルですが、従来感じてた広さ・高さよりは控えめな印象。
細かく言うと若干横が広い気もしますが、自分はグローバルに合う細足なので余計にそう感じるだけの話かと。
まずはマイサイズから試着して、出来ればハーフダウンまで見て貰いつつシューズ内のスペースを見て判断されるのが良いと思います。
自分は最終的にはハーフダウンで落ち着きました。

最初の状態。
まさかこんなにも早く悲劇が訪れようとは…。
シュータンのレースループは通さない方が自分はフィットしました。
重ねてるアッパーは”シースルー”と呼ばれる位のペラペラメッシュ。…というか透けてる。
ソックスに気を使います…。(ホワイト系意外で履きたくない…。)
ちなみに初めて通気性で快適さを感じましたw

すっけすけ。
ヒール部分のオーバーレイヤーはフューズの様なメッシュ。
剛性強化という面見ると「そこまで…」ではありますが、しっかりしたヒールカップとヒールパッドの配置もあってズレ感は希薄。
後述のEclipseプレートもあって気にせずプレイ出来ました。

パールっぽくなってて結構格好良いんですよね。
ヒールパッド部分。
踝下までしっかりカバーしてくれるしで、かなり快適です。
気を取り直してソール周り!

まずはインソール。
久々にOrtholiteの刻印を見た気が…。
今回使用されてたのは結構薄めのもので、それでいてフラットではなく3Dにかなり造形された形状でした。
フィーリングはいつも通りで、低反発系でしっとりと足に馴染みます。

あ、あとめちゃくちゃ剥がし辛かったです…。
底面撮り逸ったな…。一枚ウレタンは貼られてるんですが、両面が強力なので破損させない様にお気をつけ下さい。

表面。
オーソドックスなジャンプマンロゴに34のアイコン。
久々にお見かけしたOrtholite独特のブルー。
やはりレギュラーの低反発系とはちょっと違う踏み心地なんですよね。
さてさてクッション性に関して。

構成としてはフォア + ヒールにZoom Airを搭載し、中足部にEclipseプレートを配置。
ベースに関しては言及見つからず、触った感じはファイロンと思います。
フォアフットはかなり広大なエアバッグ、ヒールはヘキサゴンタイプ。
フォアのエアバッグはアウトソール側にマークされてる位置のもので、形状的にはAir Zoom Turboのそれに近い形状。
Official Image見るに横方向のスリットが入った縦方向屈曲に特化した形状に見えます。
前後ともにどちらにエアバッグもボトムロードで、フォア側はEclipseプレートの
隙間から露出してるのもこのモデルのアイコン。

このチラリズムってウキウキしちゃいますよね。
さて肝心のフィーリング。
正直に、正直に書きます。
「うーん、なんか変だ???」というのが個人的な最終解になりそうで…。

まずバランスが大前提になるので先に触れますが、バランスはEclipseプレートの持ち上がりも有り弱前傾。まずこれが基本。

※以下はあくまで個人の体格・身体操作レベルにおける違和感なので、参考までに…。
それを踏まえて、まず第一に、”ヒールの設置感”
基本的にシューズで弱前傾のアングルを作る場合は必然的に”フォアフット着地”を利用しやすい形状になる傾向なんですが、何故かこのシューズにおいてはフォアフット着地の段階でヒールが先に接地してしまうという違和感を感じました。
中足で踏み込みたいタイミングなのにヒールの接地が来てグリップ発生 → ステップにディレイが生じるという変な違和感。
構成から見るにEclipseプレートによる強度と反発でフォアフットプッシュが本来アドバンテージの筈なのに、何故か初速がダルになってしまうという不思議な感覚…。

第二に、”連動性”
じゃあこのヒール接地が起こっても問題ないシチュエーションは?って言うと弱後足寄りから設置するランのモーション、ヒールストライクってやつですね。
このランから入るモーションの前方向の動きでアドバンテージが作れないか?と探って見たわけです。
で、実際にヒールから接地してみるとなるほど、おそらくヒールZoom搭載モデルの中で一番Zoomの感触を感じました。
そこから前方向に重心が移り、Eclipseプレートに乗る。うん、これもまた快適で適度な硬度とスムーズな重心移動を感じられるかと。
で、中足部からフォアに掛けて重心が移行すると…あ…れ?
何がどうかというと屈曲しすぎる&沈み過ぎる事により前進フォースが活きて来ないという状況に。
「乗り方が悪いのか?」結構色々と踏み方変えてみたのですが、この特性を活かす方法が見つけられませんでした…。
フォア単体で踏みつける・踏み込む様な動作に置いてはクッション性と反発を”感じやすい”ので単体で見れば確かに快適かもしれないです。(吸収特性が強いので余計に)
でも体のモーションを流した時にこの特性だとブレーキが掛かるような感じで個人的にはかなりの違和感で…。
結果的に「アンバランス」かな、と結論付けたいです。

さて話を戻し、アウトソール。
全面斜め方向のヘリンボーンパターンで、各パターンは細め。
ラバー自体は粘る系の特性を持ってて、グリップ自体は結構強め。…ただし、Twitterでも先に触れましたが水分的要素によるグリップ低下が如実に出てしまったのが気になったポイント。
シチュエーションとしては2パターンで、どちらも今の時期は厳しいですね…。
1つ目は湿度。
この時期は雨が多く、高・低気圧の変動が多い時期。必然的にフロアにも水分付着が多いコンディションですが、こういった状況のフロアだとかなりスリッピーでした。
もう1つは汗やドリンクの結露等によるまとまった水分。乗ってしまうといきなりすっぽ抜けてしまってかなり恐い思いをしました…。(徐々に熱くなって汗も滴りますのでお気をつけを…。)
逆にドライな環境でのグリップはかなり高く、これであれば冬場のフロアの方がおそらく得意かもしれないなーと思ってます。

アウトソール全体。
放射状のヘリンボーンパターン。
パターン拡大。
接地面積が狭いので、余計に水分に弱いかも…。
最後に重量。
25.5cmで359g。
そもそもそこまでAJシリーズを履けてない事もあって単純比較が出来ないという…。
重量的に見るとKD7の26.5cmが同じ、CP.3 Xの26.0cmが357g…ん?うん。
(いや、普通に考えても軽いと思いますw)


ということで、以下の様に評価してみます。

フィット …  7/10
グリップ … 7/10
ベンチレーション … 10/10
クッション … 8/10
コスパ … 6/10
-----------------
ALL … 38/50

「パーツ毎に見るとハイパフォーマンスなのになぁ…」
これが率直な感想でした。
特にソール周りの不自然さがどうにも気になってしまったというのが正直な感想で…。
フォア周りと中~後側部がそれぞれ相反する性質に対してこれらの連動性が皆無でそれぞれが活きてこない…。

もしこれ迄のAir Jordanシリーズの流れに乗せてレスポンシブさを求めるなら従来どおりフォアにFlight Plateも搭載してくれた方が全体の繋がりも強化されて更に良かっただろうし、逆にフレキシブルに振るのであればEclipseプレートは廃して全体を整えた方が良かったのでは?とも思います。そして、それらの方が総合して見た場合の完成度として高められたんじゃなかろうか、と自分は纏めさせて頂こうかと。

誤解無い様に改めて書きますが、それぞれのパーツ・マテリアルは単体で見るとそれぞれ高い完成度を持ってます。アッパーのシースルーなんてメッシュで通気性も高いながらしっかりした強度持ってますし。(レースループは駄目でしたが…)

フォローでは無いですが、今回上記で書いた評価はスピードレンジが高い程&初速を上げれば上げる程如実に出てくる様に自分には感じました。
なのでそこで勝負せずに技・フィジカルで勝負出来る方だとまた違った評価になりそうだなぁ、という部分を加筆させて頂ければと。

いやー…正直本当に難しいシューズでした…。
(あ、ちなみにNike Japanからは未だに回答頂けておりません…。)

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